雨の日の出来事

昼頃からの雨のせいか、夕方の道路もバスもいつもより少しずつ混んでいた。とはいえ、今日の目的地は終点。無事に座れた身としては、後は寝てるだけ。

いつも通りまどろみ始めた意識に、不意に怒声が突き刺さった。大声で運転手に詰め寄る男がひとり。言い分によると、バスが停留所に止まる時に跳ね上げた水しぶきでずぶ濡れ?になったらしい。

車内放送のマイクをOnにしたまま平謝りする運転手。微妙な間の後、バスは気まずい雰囲気で走り出した。

バスが次の停留所に着こうとした時、さっきの男はおもむろに立ち上がり、乗車口の方に歩き出した。そして男はドアが開くと同時に発券された整理券を何食わぬ顔で手にし、そそくさと引き上げていった。とがめる人は、運転手も含め誰もいなかった。

…整理券を取る間も惜しんで、とにかくすぐにクレームを付けたかったということか。よほど腹に据えかねたのだろう。

でもあなたの行動、みんな見てましたよ。